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コトノハ

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優しすぎる闇のマスター

  気付いた時には闇の住人で、しかも次期トップの名札がついていた僕は、“正しい”愛情を知らずに育った。多分。傍には研究に没頭する父親とその教え子夫婦、その父親を守るボディーガードが数人。あと、父の趣味であるサックスが4本。残りは、漆黒の闇だった。
 小学生になったころ―行っていないのでわからないが―から、読み書きと加えて暗殺術を学ぶようになり、あの地獄のような事件で父亡きあとは“マスター”の位を継いだ。相良夫婦と、敵対組織“烏”の池田夫妻の、命を懸けた命のための闘い。僕ら“アサシン”はカリスマだった父に加えて、相良夫婦の命も奪われ、その子であるコードネーム“ミクティブ”を誘拐され、残ったのはまだ未熟な僕と、ミクティブの妹・コードネーム“ニーサ”。彼女はまだ僕を“祥ちゃん”と呼ぶくらい、幼かった。あの頃ほど、大人という世界の尊さに憧れたことはない。

「マスター、どうかされましたか」
「別に」
「挨拶代わりのキスは毎度ですが、抱きしめられるのは初めてです」
「僕を詮索するのか」
「違います。ただ……」
「ただ?」

「“かわいそう”と思っただけです」

 それは君だよ、相良愛――


「時はきた。ターゲットの社会的生死は君の判断に任せるよ。存分に暴れておいで。そして、ミクティブを取り戻すんだ」
「御意」

 “御意”なんて言葉、いつ覚えたのだろう。
 もう、あの頃の僕にすがっていた幼い女の子はいない。

 奏か。

「人は……人は、成長する葦なんだよな。父さん」


 呟いて。
 目からこぼれる、この水の正体はいったい何なのだろう。




【登場人物】
マスター(高橋祥平)・・・主人公
ニーサ・・・相良 愛
ミクティブ・・・相良 陽

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